第29章 暴こうとした罪の罰を知らぬ振り
「え、リヴァイ?何かあったの?」
「違う違う、リヴァイ紅茶好きでしょ、美味しい紅茶のお店教えるって言ってたんだけど、会う機会ないからメモにして教えるだけ」
「そう?なんだかんだ、仲良いの?」
「多分、悪くはないと思うよ?」
訝しげな二ファにトレイの回収のありがとうとメモをよろしくね。とお願いしてから部屋が静かになるといつの間にか睡魔に負けて眠ってしまった。
コツン、コツン。何かが窓に当たる音がする。
夢現のなか、音を聞いているうちに目が覚めてきた。近くのランタンをつけてみると、開きっぱなしカーテンの窓の外には、いるはずない、居てはいけない、リヴァイが窓を叩いていた。ランタンの灯りで見えた顔は怒っているようで、自分の部屋なのに温度が下がった気がした。
開けろ。ジェスチャーで示す、リヴァイ。
動くな。と医療兵に言われてるんだけど。仕方ない。
窓の鍵を開けるとヒラリと外から入ってきた。
「なに体痛めてんだ。てめえは」
「訓練に熱が入っちゃって。」
嘘、お見舞いじゃない。説教にきたの!?
「どの程度だ」
「どの程度?」
「治るまでどのくらいだ」
「多分、2、3日?」
「チッ」怒られてる。理不尽だけど怒られてる。
「あの、なんか、ごめん。」
「意味無く謝るんじゃねえ。とっとと治しやがれ」
言うだけ言って、窓からヒラリと外へ出て、鍵はしっかりかけろ、カーテンは閉めろ。と保護者のように言って帰って行った。なんだったんだろ。
「ねえ、ティアナ、」
朝ごはんを持ってきてくれた二ファが戸惑ったように話しかける。
ん?と顔を向けるとやっぱり戸惑い顔でこっちを見ている。
「本当はリヴァイの恋人なの?」
「ごほっ、ごほっ!」
スープを吹き出しそうになった。
その反応を肯定とみなした二ファがいつから?どっちから告白したの?怒涛の質問を繰り出す。
待って、の言葉は聞こえてないみたい。
挙句の果てにはやめといた方がいいと、心配までされた。
一つずつ、二ファの疑問に答える形で恋人じゃないこと、よって、告白もないこと、そもそもそういう気持ちがないこと。を説明せざるを得なかった。
でも、二ファは納得がいかないらしい。
その理由を聞いているうちに頭痛までしてきた。