第27章 ひとつの別れとひとつの再会
突然過ぎて返答が遅れた。
「何か異論はあるかね」
「いいえ、拝命致しました!」
「ひゃっほー!エドありがとう!!」
「今からその旨を書類にする。それまでどこかに行っていなさい。」
ティアナが返事をする前にハンジが腕を引きエドゥアルドに「わかった!」と連れ出した。
「ハンジさんは知っていたんですか?」
「戻ってこーい!って願ってたけどエドの判断次第だったんだ。」
「あの突然過ぎで…」
ティアナはお世話になったユンカーやシュニッツェル、リシナの顔が瞬時に浮かんだ。
「多分ユンカーは聞かされていたはずだよ、スタッフルームへ行こう!」
足取りも軽やかなハンジに戸惑いながらスタッフルームへ入るとユンカー、シュニッツェル、リシナ、その他、手の空いていたスタッフが迎えた。
「本部に行っても忘れないでよ」
リシナはトンっと肩を叩き、シュニッツェルは抱きしめ、ユンカーは穏やかな表情で頑張れと送り出す言葉をかけた。
ハンジの言う通りユンカーは予め予告されていたようで、集まったスタッフに知らせていたらしい。
(〜っ)
視界が潤んで見える。声が出ない。ちゃんとありがとうって、、
「大丈夫、わかっているよ」
もうダメだった。泣きながらはっきりしない言葉でありがとうございます、お世話になりました。と何度も伝えた。
ユンカーが頭に手を置き、「君は頑張った。ここでの経験を本部でも活かすように。」
うんうんと子供のように泣きながら頷くティアナを短い期間だが、受け入れたスタッフ達は微笑ましく見守っていた。
涙が落ち着いた頃、荷物をまとめる為に廊下を通ると階段を上がってきた患者達も「よぉ、本部の連中によろしくな!」と肩や背中を軽く叩く。また涙が溢れそうで「はい!」とだけ答えた。
部屋に着くとハンジとリシナが荷物をまとめるのを手伝い最小限、来てから増えた荷物はもし、良ければと前置きしてリシナに譲った。
そうこうしているうちにユンカーから院長室へと促され、エドゥアルドから正式な文書を受け取った。
「怪我をして戻ることがないように」と本日初めての柔らかな笑顔で訓示を受けた。
「じゃあね!」「たまには顔を見せなさいよ。」
「元気で!」送り出す言葉を背に乗せ、いつの間にか用意されていた馬車で本部へと向かった。