第24章 手紙
「ふん、エルヴィンめ」
渡した文書の内容が気に食わないのか悪態を吐くエドゥアルドは柔和に見えるが、意外とそうでもないらしい。
「悪いが」
文書を読み終えたエドゥアルドは机に文書を乗せ、うつむき加減で目頭を解しながらエルヴィンへの返事を口頭で伝える。
「この件については、私も考えていたが直ぐに回答出来ない。一週間程時間をくれ。その旨、紙に認めておく。エルヴィンに渡してくれ」
サラサラと白い紙に書き付ける。
その他にも本部へ渡して欲しいと、ノートブック位な厚みの書類も纏められ革製のバッグに入れられ渡される。
「ところで、だ。」
文書の話は終わりとばかりに次の会話が始まる。黙って大人しく様子を伺う。
「うちで騒ぎを起こしたのは君なのかな?」
「騒ぎたかった訳じゃねえが。結果としてはそうなる」
「普通の兵士は挨拶後にすぐ、この点も謝罪するな。」
「それは失礼した。確かにそうだな。その際は申し訳なかった」
「まあ、いい。それよりも私は君の経歴が気になる。訓練兵団には行ってないと聞いたが本当か?」
「その通りだ。立体機動は自己流でエルヴィンの計らいで調査兵団に入団した。」
「なるほど。」
尋問のようなやり取りにウンザリし始めた頃にエドゥアルドは傍に控えていたユンカーと共に二人とも下がって良いと言い部屋をでた。
「ハンジから、君のことは良く聞いている。とても優秀だが口が悪いとか、いろいろね。」
何を話してんだ、あのクソメガネ。
「今日のところはこれで帰るかい」
「いや、出来れば茶の1杯くらいは飲みたい。」
早く追い返したい。もうユンカーは隠すことも無く接してくる。
だが、リヴァイが来たのは文書のメッセンジャーではなくティアナとの一時がほしいだけだ。
せっかくだ、ハッキリさせておきたいこともある。
「あんたはティアナのなんだ?」
「上司だ」
「そうか、その割にはティアナが気に入ってるようだな」
「部下はみな家族のようなものだ。大切に決まっている」
「そうか。ならティアナには手を出すなよ。あいつは俺たちが大切にしてるからな」
冷たい視線で言い切ると始めに目を反らしたのはユンカーだった。
両手を上げ、降参だ。と示してユンカーはリヴァイの望みを叶えた。
「ティアナを呼んでこよう」