第24章 手紙
エルヴィンから文書を受け取ると、自班の班長に報告して、直ぐに第3医療隊へと向かった。
約束も報せもしてないので、きっと驚くだろう。
なるべく馬を速く走らせ向かう俺は多分浮かれてる。
浮かれついでに立ち寄った街で菓子を購入した。
菓子店に入るのは気恥ずかしく初めてだったが、甘そうな日持ちのする物を買い求めた。
ティアナは仕事中だが、休憩くらいは時間が取れるだろう。
俺も直ぐに仕事に戻るため、あまり時間はないが、手紙だけではなく会えるのは嬉しいと素直に思う。
距離のある第3医療隊だが、脚力のある愛馬のおかげで昼前には到着した。
まずはここの責任者である部隊長のエドゥアルドに文書を渡して返事が得られるなら返事を持って本部に帰る。
それがエルヴィンの命令だった。
前回の件がある為、警備も警戒していたがエルヴィンから預かった文書のケースを見せれば所定の手続きで入れた。
どうして、最初に会うのがこの男なのか。
巡り合わせというものがあるなら今日はハズレだ。
「ここで何をしているのか?」
「エルヴィンに頼まれてエドゥアルド部隊長に届けものだ、ついでに返事を貰えるなら貰ってこいってな」
ユンカーは取り繕ってはいるが警戒心を露に、訊ねるので、俺は内心、焦りながら用件を伝える。
「こっちだ。」事前に知らせてなかったからか、事務的な態度で案内人になっている。
それも致し方ない。俺は部下を泣かせた悪人に見えているだろうからな。
俺への態度とは別に患者やスタッフに会うと人好きのする笑顔で接しているが足は止めない。
「この前は悪かった」
ユンカーの背中からも感じる警戒心に迷惑をかけた事を謝る。
「僕は君の事をよく知らない。ただ問題を起こして欲しくないだけだ。」
身に覚えがありすぎて、これ以上何も言えない。
そうしているうちに院長室とプレートのある部屋の前に到着した。
ノックしユンカーが名乗ると「入れ」と聞こえ、ユンカーがドアを開けるその後ろから、俺も入る。
「客人か?予定にはなかったはずだが?」
「本部より、急ぎの文書のようです。こちらは本部付きのリヴァイ君です」
君呼びに少々ムカッとしたが、いちいち反応してはいられない。
「リヴァイだ。エルヴィンからの預かり物はこれだ。返事もできるなら欲しいとの事だ。」