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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第23章 話したい



「話がしたい」

何の話を?もう私はフラフラでこれ以上の罵倒には立ち向かいたくない。
耳を塞ぎたい私の両肩を優しく掴んだリヴァイは近すぎる距離を離してもう一度訊ねる

「駄目か?」

縦に振りたかったはずの首は左右に揺れている。

ホッとしたようなリヴァイの顔は初めて見る気してドキッとした。

「俺は間違えた。お前を傷つけちまった、すまない」

離れた両手を下ろして、リヴァイは後悔と許しを願うような瞳を真っ直ぐに私を捕らえる。

「お前のそばに居ると、、」

言葉を止めて一瞬、躊躇いながらリヴァイは続ける。

「俺は、自分が優しくなれる気がしたんだ。だから俺の知らないお前を知ってお前の全てが嘘だったと思い込んだ」

リヴァイはずっと真剣に視線を反らさず話してる。多分いつもとは違う本音をさらけ出して向かい合ってる。

カタカタ震えるのは体と心のどっちだろう。

「俺の知らないティアナをエルヴィンは知ってる、他の奴らも知ってるのかと思うと腹が立った。それで辛く当たった。悪かった。」

「嫌われたんじゃない、の?」

「違う。ティアナは何も悪くない。俺が勝手に決め付けて勝手にお前を遠ざけた。もし、」

「もし、ティアナが許してくれるなら俺はお前のそばにいたいと思ってる」

どうしよう、私は今、心臓が痛い。嫌な痛みじゃない。内側から穏やかなリズムなのに鼓動が強く響く。

「許さない、も許すもないよ。」

リヴァイの眉間のシワが深くなる、その目には寂しさの色が見える気がする。

「だって、最初から私はリヴァイを嫌いになってない、だから」

そこまで言うと視界が一つの色だけになった。私より強く早い鼓動が、頭と背中に私じゃない温かさが包む。

長いような短いようなわからない時間の流れの後。
リヴァイが「ティアナ、ありがとな」と優しく言った。





戻ってきた穏やかな時間を長引かせようとするも、深まる夜とともに気温も下がっていく。
リヴァイの用意してくれた紅茶も飲み終わって空気は冷たい。

「戻るか。」

ちゃんと厚着をしていない私はブランケットを頭から被って出来るだけ空気に触れないようにしている。
早く戻って温かい飲み物を飲んで消灯までは優しい時間を大切にしたい。

「うん。戻ろう。」

行きは一人、帰りは二人。

やっと仲直りできた。

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