第23章 話したい
「で、俺はお前に言ったな、待つ。と。」
「言った。」
「なら、何故一度たりとも来なかった。」
「行った!確かに公演前は声合わせとか打合せなんかで行けなかった!それはごめんなさい。だけど休暇が延びた時ずっと来てくれると私も待ってた!でもリヴァイは来なかった―」
ティアナが堪えきれなかった涙が零れ落ち、それでも泣くまいと涙をハンカチで拭った。
「………」
涙を拭うティアナを見つめながらリヴァイはまだ引っかかる事を投げかける。
「エルヴィン達は知っていたのか?ハンジやミケ、ハンジ班の奴らもみんな知ってたのか?」
喉が熱くて狭まりながらも少しづつ返事をする。
「キース団長とエルヴィン分隊長、ハンジさん、ミケさんは知ってる」
「なるほど、幹部組に重用される訳だ。あながち、あの女たちが言ってた事は間違っちゃいなかったんだな」
ショックだった。リヴァイからこんなにも否定され、自分がアーリヤとしてのコネではなく築いてきたものも否定される。
「リヴァイ、あなたは兵団での私の全てがコネだけだと?ふざけないで!!」
激昂するティアナにリヴァイは気圧され目を逸らした。
本当は分かっている。ティアナがそんな人間でないことは。自分の放った言葉がティアナを傷つけている事も。
「確かにエルヴィン分隊長や団長は資金面調達の意味で私を前線に立たせなかった、でもそんなことはどうでもいい!私自身の力で必ずみんなの元へ戻ると!私は自由な個人として意志をもって兵団にいる!」
ティアナの大きな声に隣の部屋の二人が飛び出してきた。
そこには立ち上がり泣いて瞳を赤くし肩で息をするティアナと視線を逸らすリヴァイ。
リヴァイは何処か苦しげに見え、いつもの彼ではないように視線を俯かせている。
「ティアナ」ハンジが上下する肩を撫で、落ち着かせる。
ユンカーはリヴァイの様子に恐らく彼は不器用すぎる男だと内心で思った。
「どうするんだハンジ。拗れたように見えるぞ」
「ユンカー、二部屋用意してくれるかい。今日はもう遅い。彼らにも時間が必要がだ。」
「はぁ、分かった。貸しだ。院長には報告するぞ。」
「ありがとう」
ユンカーは部屋から出ていき、ハンジはティアナを連れ出ていき残ったのはリヴァイだけになった。