第23章 話したい
ドアを開けると真剣な顔ぶれの6つの瞳が一斉にティアナに向けられティアナはたじろぐ。
「ティアナ驚かせてごめん。でも、こうでもしなきゃリヴァイもあなたも本調子に戻れないと思って飛ばしてきた。」
ざっくりとハンジが説明した。
ユンカーに視線を向けると、ユンカーも厳しい顔でハンジとリヴァイをみている。
「何があったのかは知らないけどティアナとリヴァイの間でごたついてるのは分かる。それを解消しに来た。」
「ハンジさん、私は、」
「ティアナ、君の最近の様子だとハンジの話が説得力がある。この客室は続き部屋だが、君たちの会話までは分からない。でも、何かあったらすぐに分かる。解決するまで十分に話し合いなさい。」
ユンカーもまたティアナに厳しい言葉で逃げ場を奪う。
「じゃあ、こっからは二人で話して。私とユンカーはあっちの部屋で待機するからね」
ティアナとリヴァイの承諾も何も聞かないで二人は隣の部屋に入って行ってしまった。
無言の間が苦しい。かといって、いつものように振る舞えもしない。
「あの、」おずおずとティアナが声をかけるとリヴァイは目だけをティアナにあわせ、不機嫌な顔で「なんだ」と素っ気なく答える。
無視はされていない。少なくとも話す気はあるようだ。
「どうしてリヴァイが怒っていて、私を避けるのかが、分からないの。」
なけなしの勇気を振り絞ってずっと気になって、聞きたくて聞きたくないような気分だったことを聞いてみた。
「………お前、公演に出てたな」
「なんでそれを?」
「あの声とヴァイオリンの曲を聴きゃわかる。」
フンと鼻を鳴らしてリヴァイは続ける。
「俺は何も知らなかった。ただあの時間だけが俺たちの為にあると信じきっちまっただけだ、まあ、そうじゃなかった訳だが。」
「違う!確かに歌ってたし、昔は音楽でそれなりに満足な生活も送ってた。だけど今は音楽のアーリヤじゃなくてティアナ・ディーツとして生きてる。私にとってもリヴァイ達との時間は大切な、時間..で」
泣き出しそうな震えた声で続きを話すのが次第に小さくなっていく。