第23章 話したい
「お邪魔するよ!」
門での手続きも警備も無視してハンジが乱入してきた。
ユンカーは何事か?!と驚いたが、警備を下がらせハンジに苦言を呈する。
「一体何だ?何があったんだ。」
「ユンカー、いい所にいた。ティアナを連れてきてくれ!」
「何事か?と聞いている。ここで勝手は許さない」
全く事情が見えない状況にユンカーは顔を顰めながら、ハンジを牽制する。
「こっちの勝手に付き合わせてるけど、うちのが度胸なしでね、とにかくティアナと会わせて欲しい」
ハンジの少し後ろには不機嫌を通り越し、悪人面とさえ言えそうな顔の男が腕を組んで立っている。
よくよく見れば以前確かハンジと来たことのある、リヴァイといったか。
「ハンジ、ティアナに危害を加えそうな勢いでは会わせられない」
リハビリ棟の患者達もどうしたと集まり始め様子を伺っている。
「大丈夫、私は勿論、リヴァイだってティアナにそんなことはしない。」
様子を見る限り、そうは見えない。だが、ここでこの状態は望ましくない。
「ここで、騒いでもらっても困る。こっちに来い」
ユンカーは二部屋続きの客室へ誘導した。
「はあ…またやってしまった。」
あれからどんなに気をつけても、どこかでミスを侵してしまう。
気を抜いてる訳ではないはずなのに。
突然のノックにビクリとする。
「ティアナ!」
リシナが普段よりは幾分険しい声で呼ぶ。
何?急いでドアを開けるとリシナが本部の人達が来ててユンカー班長が呼んでる!客室に行って!と矢継ぎ早に説明するが端折りすぎて話が見えない。
動かないティアナに焦れてリシナは腕を引っ張って指定の客室へ背を押した。
客室でティアナを待つ三人はハンジとユンカーが主に話しリヴァイはうんともすんともしない。
「ティアナには変わりない?」
「大有り、だ。本部から戻って以来ミスを連発してる。様子もおかしいが何も言わないし相談すらしない」
ユンカーの言葉にリヴァイは揺れた。
ティアナを避けていた時にハンジに言われたことを思い出し、自分が原因だろうと気づいた。
控えめなノックの後、「ティアナ・ディーツです。お呼びでしょうか」
「入りなさい」ユンカーが許可を出すと、おずおずとがドアを開いた。