第22章 会えない二人
そうしてリヴァイと歩み寄ることなく休暇は終わり、第3医療に戻る日が来てしまった。
ハンジは「行かないでぇー」となかなか離してくれないが、休暇が終わってしまったからには行かなければならない。
つかの間の自由な休暇の間、リヴァイとあの場所で会う事も、廊下で立ち話なんてのも全くなかった。
偶然顔を会わせても嫌なものをみた。とばかりに逸らされる。
短期間でも本部に戻れるのが嬉しかったのに今では、来なければ良かった。とさえ思える。
時間になりハンジたちが、名残惜しいそうにしてる中、愛馬の腹を軽く蹴り、第3医療隊へ走らせた。
医療隊に戻るとユンカーやリシナやシュニッツェルと留守の間にあったことなどを引継ぎする。
本部にいた頃も今回のような長期間任務等から離れたことが無かった。
(本部での出来事は気にせずに今はここに専念しよう。)
ティアナが本部での再休暇の間にクルト達は医療隊での公演を終えていた。
リシナ達は何も知らずにいたので素敵だったと感想を聞かせてくれた。
明日からは医療隊での日々が始まる。
「ハンジ、リヴァイが最近荒れているが何か知らないか?」
エルヴィンの執務室に呼び出され、リヴァイの様子を訊ねられる。
「知らないよ、聞いても素直に教えると思う?あのリヴァイがさ」
「しかし、最近の行動は目に余る。何かがなければああはなるまい」
あれからのリヴァイはエルヴィンの言う通り荒れていた。まるで兵団に入団した頃のように誰彼構わず飛びかかりそうな圧が常にある。
実際、訓練でヘマをした兵に罵声を浴びせ喧嘩沙汰も起こしている。エルヴィンが危惧するのも仕方ない。
「…様子がおかしくなったのは公演以降辺りだが思うがリヴァイが荒れる理由が知りたい」
「拗ねてるんでしょ」
「拗ねる?」
「公演の頃にあったことは限られてる。ティアナが本部に戻ったけど練習漬けだったから私たちも話せなかったよ」
「リヴァイはティアナと親しいのか?」
「さあ?少なくてもリヴァイは親しいと感じてるはずだよ」
エルヴィンは組んだ手に顎を乗せながら暫し考える。
果たしてそれだけであんなに荒れるものだろうか?
「ハンジ、そういえば以前ティアナに会いに行った時、リヴァイは着いて行ったか?」
「外出許可貰ったじゃん。今更だね」