第21章 巡回公演
ハンジさんモブリットさんが来てくれたおかげで、隣にいる黒いオーラをユラユラ立ち昇らせているリヴァイも怖くない。たぶん。先に食事を摂っていた二人は早々に食べ終わったのか席を立つ。
エルヴィン分隊長は後で団長に挨拶するのは忘れないようにと言いながら後で執務室にも寄るようにと以前とは比べられない爽やかさで出ていった。
ミケ班長も職務があると立ち上がり、結局残ったのは私、ハンジさん、モブリット、リヴァイの四人
ハンジさんはマイペースにリヴァイをからかって更にリヴァイが眉間に皺を寄せている。
モブリットさんが、今日のスケジュールをハンジさんに説明していたけど、一言で覆された。
「仕事はなし。全部なし!今日はティアナといる!」おおよそ予感はしていただろうモブリットさんを横目にリヴァイが「俺も戻る」と去っていった。
もう、食事をしている場合じゃなくなった。
仕方が無いので片付けを終えて団長に会いに行こうと立ち上がるとハンジさんが一緒に行くよ。と言い出した。こういうところは心強い。
掻き込むように食事を終わらせると落ち着く間もなく団長室の扉をノックする。「入れ」の許可を貰い緊張しながら入室する。
心臓を捧げる敬礼とともに「ティアナ・ディーツ帰着致しました。」
「うむ。御苦労。これから二週間本部だが、まずは目の前の公演を成功させ、兵たちの癒しを頼む」
「楽団首席、クルト・ヤンセンが構想、指揮者ですので、ご心配無用かと思います!」
「私は君も参加すると聞いているが。昔取った杵柄でも、精一杯務めてくれ」
「かしこましました!」
「下がっていい。」「はっ!」
団長にも言われては、舞台に上がるしかない。あれもこれもクルトとエルヴィン分隊長がお膳立てしたのだろう。
フゥ。溜息1つ。必ず成功させるとの意地と、高揚感綯い交ぜになっている所に二ファとハンジさんが見計らったかのように来て、暫く滞在する部屋と、明日から兵団入りする公演のメンバーとの打ち合わせが続く。
ここまで用意して引き摺りだすのであれば私も最高のパフォーマンスをする。
本部に戻ったのに楽団側との諸々な準備打ち合わせ、配置。仲間とゆっくりする暇もなく、リヴァイとの場所にも行きたくても行けなかった。
それがリヴァイを傷つけてるのも知らずに。