第19章 夜の静寂に響く
風呂に入って、髪をタオルで拭くと短髪のリヴァイの髪はすぐに乾いた。
綺麗好きだが、風呂に入る時間は長くない。身体を清めるのに時間をかければいいってもんでもないのだ。
多分ティアナは少し時間がかかるかも知れない。
待合わせ場所と時間は決めているから遅れることはないだろう。
空いた時間に客室備え付けの冊子を読んで時間を潰す。
いつもは時間は飛んでいくのに、時計の針の進みが遅い。念の為リヴァイは持ってきた大きめの袋にブランケット2枚(リネン室から拝借した)を詰めた。給湯室で、好きな茶葉で入れた紅茶を持参のタンブラーに入れる。紅茶には気持ちの分ウィスキーを入れた。
もうすぐ約束の時間。
リヴァイはあの頃のように玄関から少し離れた壁にもたれ掛かりながらティアナを待った。
ティアナは慌てていた。お風呂から上がって髪に香油を丹念に塗り乾かし、愛用のブランケット二枚を
用意し急いで玄関へと向かうと同僚のリシナが、そんなに慌ててどうした?と声をかけてくる。今は知らん顔してくれたなら良かったのに。
「今夜は天気が良いから夜空を鑑賞しようと思って」
一人で?危ないよ?と心配されるが本当はリヴァイと一緒だから怖いことも危ないこともない。
曖昧に答えて、また明日ね。と会話を強引に終了させる。
リヴァイが待ってる。きっと時間より早く待ってるはず…
ようやくティアナが玄関を通り抜けると「遅せぇよ」とお叱りを受けてしまった。
素直に「ごめんなさい」と告げると「そんなに待ってもねえよ、悪かった」と逆に謝られた。
お互いに謝ってるのが微笑ましくて顔を合わせて笑う。
誰かに見られて詮索されないうちに。とティアナだけの場所に二人で歩調を合わせて歩いていく。今夜は天気が良い。月の光と星の光がランタンがなくとも足元を照らしてくれた。