第19章 夜の静寂に響く
外から戻ると夕食時の配膳などでスタッフが動き回る中、いつもは何だかんだと手伝うティアナも今日はリヴァイやハンジと食堂の端で食事を楽しんでいる。
初めは直ぐに本部に戻ると思っていた二人が泊まりがけと談話室での会話で聞いて今日一日は楽しもうと笑顔も笑顔。
ハンジも久々にゆっくり見舞いが出来たと満面の笑みで食事を摂っていた。リヴァイはいつも通りの仏頂面の様に見えてハンジは浮かれているのがわかった。
ここでからかうのは余りに無粋だと二人の間に入って本部のこと、第3医療隊でのティアナの話などを膨らませていた。
食後のお茶を済ますと勤務の終わったユンカーとハンジは談話室で飲むと言い、誘われたがリヴァイは風呂に入りたいと引っ込み、ティアナは手紙の返事を、とやはり引っ込んだ。
「ハンジ、あの二人は恋人かな?」
「いや〜多分違うよ。少なくとも今はね」
手元のシェリー酒をグラスの中で揺らしながら窓の外から見える星を数える。
いつからユンカーは部下の恋話に興味を示すような男になったんだろ。
「僕が、ティアナに触れる度に噛みつかれそうでね」
その割には和かな笑顔でリヴァイの反応を話す。
「何?ユンカー、部下に横恋慕かよ?」
「違う違う、ただ、ああいう子はモテるだろうな。と思ってさ」
「無粋だね、ユンカー。私はユンカーからそういうこと聞きたいわけじゃないけど?」
「悪かった。ここでのティアナはどうしてるか?だったか。良くも悪くも良い仕事ぶりだよ。熱心で根気強くて、気も利くし。」
「そんなに褒めるって事はそっちからは本部に帰さない予定かな?」
「院長は知らないけど僕としては折角の片腕をなくしたくないな。」
「ふうーん。私は早く帰ってきて欲しいんだけどね。本部に戻ってももう大丈夫だと思ってるから。本部に戻り次第、団長に直訴にいくんだけど、そっちからも手放してやってよ」
「勝手に連れてきて、勝手に帰せって横暴だなあ」
「それが、柔軟性だろ」ケラケラどこまで本気か分からない笑い声を上げてハンジはグラスのシェリー酒を飲み干した。
そんなハンジに呆れた顔でユンカーは酒を注いでやった。