第18章 新天地
バツが悪くハンジの顔が見れない俺に「気にしなさんな」と肩を軽く叩く。
「とりあえず、そこに座って」
ソファだろうソレは人一人が座れるスペースのみになって座れば埃が舞いそうな代物だ。
「このままで構わない」
「そーぉ?」と呑気な声を出したハンジは窓際の執務用デスクに腰掛ける。
「ま、さっきの返事から聞かせて欲しいんだけど?」
「休養日じゃねえ、変更するにも申請…」
「あっ、そういう面倒なのは大丈夫!モブリットが上手くやるから!で?行くの、行かないの??」
「…わかった。行く」
そう来なくっちゃ!と子供のようにストンとデスクから降りると一日分の身の回り品の用意と集合時間、場所をスラスラと話す。
最初っから仕組まれてた。気に食わねえが乗ってやる。
「じゃ、後は頼んだよ」
悲壮感漂うモブリットをよそにハンジは愛馬に荷物を乗せる。
その隣で黙ってリヴァイも出発の用意をしている。
「お願いですから、早く戻ってくださいよ!仕事溜まってますから!」
「大丈夫、大丈夫。あなたがいれば問題ない!」
「ふざけないで下さい!後、ティアナにこれ差し入れて下さい」
ラッピングされた小さな袋をハンジに手渡すと、「ティアナによろしく伝えてください」と伝言する。
「わかった!お土産話持ってくるよ」
早く出発したい気持ちを悟られないようにしてるが場所さえ分かれば先に行きたい。
やっと話が着いたのかハンジが馬に乗ると颯爽と馬を走らせた。
「ちょっと遠出になるから、迷わないでねー。」
アホか。俺はガキじゃねえんだよ
「どの方面になるんだ」
「カラネス区向かいに近い所なんだ。まあ自然豊かなとこだよ」
「…カラネス区か。そう遠くねえな」
「1泊2日にしては遠くない?初めていくだろ?」
「そうだな。地図ではわからねえ、か」
「行けば分かるさ」
ハンジが速度を上げ、お喋りは終わりになった。街道を駆け、森を抜け、馬に休憩と水をやって午後早くには、それらしき建物が見えてきた。
リヴァイはここまでの道程を手持ちの地図と照らし合わせ、目印になる町や街道を記憶させた。
天気が良く古い建物も明るくみえる。
ハンジが建物を指さした。
「あれが第3医療隊だよ」