第18章 新天地
「おーい!リヴァイ!!」
振り向くと同じ班の奴が遠くから呼んでくる。
近くに来て呼べばいいだろうに大声出してるせいで訓練中の他の奴らまで振り向きやがる。
馬の速度を落として待つと奇行種から呼び出しされてるから行ってこい。と伝言だった。
あの汚ぇ部屋に行くのか…
チッ。無意識に舌打ちすると隣の男は用はすんだと去っていく。仕方なく馬を戻して自分の服に着いた埃を払い言われた通りに兵舎に戻った。
「入るぞ」
「あ~やっと来たね!」
「用件はなんだ」
能天気に呼び出したハンジに用件だけ聞くとグフフと気持ち悪い顔しやがる。
「相っ変わらずだなぁ。」
大袈裟に両手を挙げ、勿体ぶるハンジにイラつきながら待っていると「それ!それ!その目付き、みんな怖がるから!」
全く本題に入らねえ。ふざけんな。
「用がねえなら戻る」
ドアノブに手をかけると「待った、ちょっと待ってっ!」と引き止める。
顔だけ振り向き慌てふためくハンジを黙って見てると思いがけない話が始まった。
「えっと、明後日なんだけど空いてる?てか、空けて欲しいんだ」
「まずは理由を言え」
「おっと、そうだった。私用なんだけど、第3医療隊、って知ってる?そこに行くんだけどリヴァイもどう?」
「…は?」
「第3医療隊ってローゼの離れで距離があるんだけど行かないかい?」
「そもそも、第3医療隊ってのはどんなところだ。そっからだろうが」
「ごめん、そうだね。簡単に言えば壁外調査でリタイアした人のリハビリ施設で定期的に行ってるんだティアナも今そこにいる」
思わず目を見開いたのが自分でもわかった。
なんでだ?アイツは壁外で怪我した訳じゃねえ、リタイア?リハビリ?何言ってんだ?
「言い方が悪かったみたいだ。怒らないでくれよ?」
とっとと話せ、クソ!頭が回らねえ
「なんか勘違いしてるようだけどティアナは、」
気づいたらハンジの胸ぐら掴んでいた。
「リヴァイ!落ち着けって!よく聞けよっ」
ギリギリと締め上げる手をハンジが押さえる。
「スタッフ!スタッフで異動!」
力を抜くとゴホッとハンジは息を吐く。
「スタッフ?」
「そうだよっ!」
「悪かった…」
私の言い方も悪かったけど!と襟元を直しながらブツブツ言っているハンジだが、ニカッと笑って言った。
「行くよね!!」