第3章 兵士と破落戸たち
三人が立ち去った後の気まずい食事を済ませたフラゴンは事の次第を話す。
エルヴィンは黙って眉間に皺を寄せ、ミケは少しだけ不機嫌な表情で、ハンジは「せーかっく!あの子達に巨人の良さを伝えられるチャンスだったのにー!!」と喚いた。
エルヴィンは食事後、詳細を知るため執務室に班長のミケ、同じく班長のハンジ、分隊長のフラゴンに招集をかけた。
ただでさえ、兵団に強引に引っ張ってきたリヴァイらが孤立する事を懸念しての招集であり、また団長キースへの報告の為でもあった。
その頃リヴァイ達は屋上に居て月を眺めていた。
「なぁ、アニキ。」
リヴァイは月を見つめながら、イザベルに意識を向けた。
「俺たちはアイツらに何もしてねぇのに地下出身ってだけで、ひでぇことを言われ続けるのか?」
不安そうなイザベルにリヴァイは無言で頭をポンポンと撫でた。
ファーランは空元気でイザベルに笑顔を見せる。
「あいつらは地下のことも何も知らねぇだろ?だから警戒してんのかもな!」
リヴァイもファーランも他の連中が何を言っても、どうと言うことは無い。
だが、幼さが残るイザベルは向けられた悪意を素直に受け取り、この先が少しだけ不安だった。
「イザベル、ヤツらが何を言っても真に受けるな。」
「そうそ、逆に絡まれなくて快適かもしれないぜ。」
まだ不安に揺れていたイザベルも二人の言葉に元気が出てきた。
「そうだよなっ!アイツら臆病だもんな!」
そして三人にとって初めての漆黒に浮かぶ月と星の光を見つめた。
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「全く調査兵ともあろうもんが、すっかり腰抜けになってるわけだね!」ハンジは仲間の陰湿さに怒りを覚えた。
フラゴンは自分がいながら、あの場を抑えられなかった事を詫びた。
ミケは自分のヒゲをさすり、ふむ。と呟いた。
エルヴィンは机の上に手を組み、兵士達は突然やって来た、リヴァイ達に警戒し、リヴァイ達も現状、全てを拒絶している態度が更に兵士達を逆撫でしているのだろうと、判断した。
明日から始める予定の訓練で彼らの実力を見せれば、どうこう言う輩は少なくなるだろう。
それも賭けだった。余計に反発する可能性もある。
それでもリヴァイらは気にしないだろうが。
とりあえず、頭の中で情報をまとめ、キース団長へ現状報告する為に解散した。
