第3章 兵士と破落戸たち
いつまでも戻ってこないリヴァイ達に痺れをきらしたフラゴンが探して、やっと屋上にいるのを見つけた。
生意気な三人ではあるが地下から地上では、勝手が違うのだろう。
ここは、決まった時に太陽の光が嫌でも訪れるし、曇りや雨でなければ星や月を眺めることは当たり前なのだ。地下では、この空一つさえも感慨深いのかも知れない。
しかしだ、兵団には食堂があり夕食の時間は決まっている。少しだけ気の毒には思うが集団生活とはそういうものだし、明日には、また太陽の光も月の光も星も眺めることは出来る。だが、今夜の夕食は今しかない。
驚かさないよう、わざと足音をたてて三人の意識をこちらに向けさせる。
せっかくの時間だが、夕食であること、食堂で食事をとることを明るめの声で伝えて三人を食堂へ誘った。
パンとレンズ豆のスープとチーズが今夜の夕食だ。
食事の時間は兵士達も笑顔で、賑やかだ。
それぞれ班ごと、気の合う友人とトレイをテーブルに乗せて質素な食事を楽しむ………はずだった。
フラゴンとリヴァイ、ファーラン、イザベルが食堂に入ると賑やかさは、ざわつきに変わった。
彼らと目を合わせず、コソコソと隣の者に何やら話しているが、友好的でないことだけは明らか。
それでも三人は気にすることもなく、淡々とトレイに食事を乗せていく。空いているテーブルに三人で座り黙々とパンをちぎってスープに浸し口に運ぶ。
三人が動じないからか、ざわつきは悪口になり、やれ地下ではロクな飯はないだろ?地下ではネズミすら食べるんだろ。と誹謗中傷が続く。
流石にフラゴンは同じ仲間、兵士として見過ごせない。
食堂に集まった兵士を強い視線で一瞥し牽制する。
しかし、大きな声ではなくとも、ざわつきと偏見の目は収まらず、フラゴンはリヴァイ達のテーブルに付き食事を共にした。
分隊長であるフラゴンの態度にコソコソとしていた兵士達も次第に黙り始めた。
そこにエルヴィンとミケ、ハンジといったメンツがリヴァイ達のテーブルについて、和やかに食事を取り始めた。そこでやっと普段通りの空気で夕食を取り始めた。
三人にエルヴィンは今日の感想を聞き、ハンジは巨人について熱狂的に話している。ミケとフラゴンは、いつも通り聞き流すが、それはリヴァイ達も同じで食事を済ませた三人は何も語ることなくトレイを戻し食堂を出ていった。
