第17章 弱い心を断ち切る
早くもティアナの謹慎終了が1週間を切った頃アベリア、カタリナからの返信があった。
ティアナは彼女らに、3行で終わるメモをだいぶ前に届けていた。
「私はあなた達を許さない。だから兵士として生きる事を奪う。一市民として生きて。」
上からの物言いに、辛辣な言葉。しかしティアナの言いたいことはこれだった。
「私らはアンタより生きて幸せになる。いつか見せびらかしてやるから、生きて。」
お互いに認め合うことはできないが、精一杯の強がりとエールだ。
これでやっと謹慎中の心残りのひとつが無くなった。
「ティアナの謹慎もそろそろ終わりだけどさ、異動先は決まってるの、エルヴィン?」
頭の後ろに両手を組んでハンジは問いかける。
正直ティアナの謹慎にも異動にも大反対だったハンジからは嫌味にしか聞こえない。
姿勢よくデスクの上で書類にサインをするエルヴィンは心の中で大きな溜息をつきながらも顔をハンジに向けた。
「第3医療隊だ」
「はあ?なんで?」
「団長と話し合って決めたことだ」
「いやいや、私が聞いてるのはどうして第3医療隊なの?ってことだよ?!」
ハンジがヒートアップすると話をずらすのも躱すのもなかなか出来なくなる。
エルヴィンが黙っているとどうしても”答え”が知りたいハンジはズカズカと足音荒くテーブルを両手で叩く。
「あなたが、ティアナを何とか前線に立たせたくないのは前から知ってたし、その為に何度も説得してたのも知ってる!だけど、、」
「ハンジ、お前は第3医療隊にティアナがいくのは反対か?」
「ああ!彼女には医療の知識も心得えもない!いきなり行ってどうにかなるとこじゃない!」
「もう決まったことだ。そろそろティアナにも通達を出そうと思っていた。ちょうどいい、お前も行くか?」
「あなたって人は…」
「どうするんだ?」
「わかった。でも一つ条件つけさせて。」
「条件付けられると思ってるのか?」
「ああ、もってこいの条件だよ。お互いにね」
怒りに満ちたハンジの顔を真っ正面から向き合い、ハンジの言う条件をどうするべきかと、熟考することになる。