第17章 弱い心を断ち切る
後、もう少しでアイツの謹慎も解かれる。
確か事務官に異動とか言ってたが、顔くらいは見れるだろう。
自分でもどうしてこうも気になるのか、あの時自制が効かずにあの五人を責め殴ったのか、分からない。噂だってアイツの事だってのは薄々感じたが色仕掛け云々は有り得ねえと気にも止めなかった。
アイツがいない間も兵団での生活に変わり映えもなく、訓練と雑用(新人の仕事と言われるが気に食わねえ)掃除とそれなりに忙しくしている。
さすがにジョゼルの班(ジョゼルは班長を辞任したいと申し出たらしいが認められなかったらしい)からは外されたが特に問題もねえ。ただ何となく足りない毎日を過ごしてるだけだ。
あまり睡眠を取らないが時折、眠りにつく前アイツを考えてしまう。
多分、弱ったところを見せちまったのとファーランやイザベルとの思い出を共有したからだ。
別にアイツが特別な訳じゃねえ。
「はぁーい!ティアナ!元気に謹慎してる?」
久しぶりのハンジさんとその横にはエルヴィン分隊長。
「元気ですよ、訓練も書類仕事の山もないですから」
ふざけて言うとショボンと大袈裟にするハンジさん。
「私は寂しいしティアナがいないとモブリット達にちゃんとしろーって怒られてばかりだよ」
このやり取りもなんだか久しぶりで笑ってしまう。
「思ったよりも元気そうだな」
エルヴィン分隊長が口を開くと少し不機嫌な顔になってしまった。
「まあ、まあ、今日は良いニュースと悪いニュースがあるんだ。聞いてくれるかな?」
「良いニュースだけ、お願いします」
「そう言わずに。ね?」
少し脂ぎった髪をボリボリかきながらハンジさんが言うと、何日前にお風呂に入ったんだろう?そろそろ二ファの出番だな。とどこか他人事に思ってしまった。
「本題に入ろう。私からするとどちらも良い話だ」
エルヴィン分隊長が言うとピシッとした空気が流れる。
「ティアナ、君は第3医療隊に異動だ。」
空気の流れが止まった気がした。ハンジさんはなんとも言えない顔で目を逸らしている。
「もうひとつは、当分の間だがハンジが一緒だ」
喜んでいいのか、悪いのか?どう感じるべきなんだろう。