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君がそこにいるならば【進撃の巨人/リヴァイ】

第17章 弱い心を断ち切る



その後、兵団内は静かなものだった。
噂は始めこそ、トリシャ達の追放やアベリア達の処分内容などで沸き立っていたが、次第に落ち着き、今では誰も気にしなくなった。

そんな中、営倉に変わらずティアナはいる。謹慎なので、特に労役はないが営倉内でできるトレーニングはしていたし、読書もしている。ある意味有効な時間の使い方だ。
食事は3食担当が運んでくる。それによって凡その時間を判断した。

アベリア達は残念ながらティアナと同じとはいかない。きつい労働を課せられ、クタクタになって眠る。
そんなアベリア達と始めは同じことをしようとしたが、流石にそれは許されなかった。

房はかなり離れておりお互い目にすることもできない。しかしティアナは食事を運ぶ担当兵にメモを渡した。アベリア、カタリナに届くように。





キースとエルヴィンはティアナの異動先に頭を悩ませていた。
当初は事務官として異動を決めていたものの、状況が変わってきた。
調査兵団内だけではなく他兵団も視野に入れなくてはならないと話し合っている。

できるならば危険から遠ざけた上で調査兵団所属のままが良いキースと、危険から完全に遠ざけるのであれば退団を促すべきとのエルヴィンの間で話が纏まらなかった。

「確かにティアナが居た方が、資金調達に苦労せずに済みます。しかし、万が一があれば取り返しはつきません。資金調達は別の方法でも出来ます。」

討論において兵団内、いや兵団外でもエルヴィンに勝る弁舌の持ち主はそうそういない。

エルヴィンの意見で押し切られそうだったが、キースにも切り札はある。


「エルヴィン、お前の言うことは十分理解出来るが、この書簡を読んでみろ」

「これは、」

しばらく目を忙しくして読むエルヴィンをキースは見つめていた。
恐らくは、この書簡でキースの主張に納得するだろう。書簡を書いた人物は調査兵団の大口スポンサーであるが、それよりもティアナの身内といっても良い人物だからだ。

書簡にはティアナの好きなようにさせて欲しいと例えそれが彼女にとって苦しくても、望む通りにして欲しい。と記されていた。


エルヴィンは読み終わると「仕方がありませんね」あの方の望みもそうなのであるのなら。と渋い顔でいった瞬間にティアナの調査兵団内での残留が決まった。



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