第17章 弱い心を断ち切る
リヴァイの前で盛大に泣いたティアナに綺麗にアイロンされたハンカチを渡し、泣き止むまで付き合ってくれた。
私は恵まれている。だから、みんなの期待に応えよう。必ずまた、ここで歌う。必ずここに戻る。
「もう、いいか」
リヴァイがポンッと頭を撫でるとティアナの何かが吹っ切れた。
「戻るぞ」
素っ気ない行動と言葉のリヴァイが、優しい仲間が待っててくれる。
私は何処に行っても、もう大丈夫。
翌日なるべく軽くした荷物を持って、兵団内の営倉へ入る。本来ならティアナは謹慎であり、営倉に入ることはない。
ティアナは固い意思を通した。
勿論そこには、トリシャ達も居てハンジやエルヴィンでさえ反対した。
「彼らが罰を受けるのならば私も入ります」
仕方なく、房を離して営倉へ向かう前にティアナは訊ねた。
「私の転属先は決まりましたか?」
エルヴィンは苦虫を噛み潰したようにティアナを見て、「まだ、決定していない」とのみだった。
リヴァイは営倉にティアナが行ったと聞いていい気持ちにはならなかったが、らしいと思った。
弱くて頑固なティアナなりの決着の付け方なのだろう。
いつ戻るかも分からないなか、不安でたまらないはずなのにその不安も何もかも受け入れるのだ。
そんな人間は稀でリヴァイはそれがティアナを傷つけることになるのでは。と危惧してもいた。
トリシャと馬鹿な男どもが日の上がらない早朝に追放されると踏んだリヴァイは門の近くで待ち、数人の足音を確認した。
エルヴィン、ハンジ、モブリット、ミケの4人と罪人の3人。
エルヴィン達が驚き怪訝な顔をしているが構わずにトリシャ達の前にたった。
「もう会うこともねえが、アイツを貶めたお前らに餞別をくれてやる」
そう言うとトリシャを手の甲で打ち、男どもには容赦ない蹴りをいれた。
トリシャは歪んだ顔でリヴァイを見て「どうして?私はあなたが欲しかっただけよ!」と叫んだ。
「俺はお前なんかいらない。」
それだけ言うと背を向け兵舎へと去っていった。
「あなた達のこと、よっぽど嫌いなんだな。私も大っ嫌いだけどね。」
痛みに呻く3人を担当に引渡すと、エルヴィン達も兵舎へと戻るが、みな決して言葉にはできないが、心の中でスキッとしたものを感じていた。