鈴の音が届く距離で2〜王政改革の章〜【進撃の巨人/リヴァイ】
第1章 :プロローグ
チリリリリン…
リリリリ…
何処からか小さな音が聞こえ…男は屋根の上に降り立ち、辺りを見回す。
分かっている…これは夢だ。
あいつが俺の側から離れてから、壁外で必ず見る…初めてあいつと出会った時の夢。
850年
此処は壁外の旧市街。
深夜…仮眠を取っていたリヴァイはゆっくりと身体を起こし、壊れた窓から空を見上げた。
少女リンが調査兵団を去って、約2年ほど経った。
そして半年前…
月に何度か届いていた手紙や生活用品などの物資が、突然何の前触れもなく全て止まった。
隠れ郷に住む少女に、こちらからの連絡手段は手紙しかなく…だがいつもの伝書鳩も来ない為、渡せぬままの手紙だけ手元に増えていく。
何が起きているのか全く確認出来ず、リヴァイは苛立っていた。
(何が起きた?何故戻って来ない?)
何度も心の中で自問するが、返事が返って来る事はなかった。
2年前のあの別れの日。
お互いの想いが通じ、抱きしめた温もり・唇・笑顔…未だ思い出す。
「リン…お前は今、何処にいる?」
リヴァイはいつも、少女が切なげに見上げていた星空を見つめ…誰にも聞こえない声で小さくそう呟いた。