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浪漫はいつも血の匂い【鬼滅の刃】【短編集】
第1章 夏に金魚の例えもあるさ【煉獄杏寿郎】
「すまない」
『どうして、謝るんですか』
「……君の師範を、俺が自ら奪ってしまったからだ。
俺が言わなければ、俺は君の師範でいられた。
それだけで、いられたのに」
『……杏寿郎さん、謝らないでください。
謝る必要なんて、ないんです』
彼の名前を紡ぐのはまだ慣れなくて、少し声が震えてしまう。
動かせていなかった両腕をそっと、持ち上げた。
ぎゅ、と、少し力を込めて、抱き締め返す。
『だって。
わたしは今、こんなにも嬉しい』
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