第7章 沈黙は、語り続ける。
『この女の生涯は野獣に似てあわれみに欠けていた。』
『死んだ今は野鳥程度のあわれみが似つかわしい。』
パタン、と本を閉じた槙島。グソンは「いいんですか?」と尋ねた。
「あの娘結構お気に入りだったんでしょうに」
「あぁ、もっと面白い玩具が見付かったからね」
「ちょっと情報を集めて欲しい」と言う彼。
「昼間学校に来ていた公安局の……おそらくは執行官」
「『コウガミ』と言うそうだ」
「そりゃあまた……妙な奴に目を付けましたね」
と、言うグソンに頷き「あの洞察力と理解力、とても興味深い」と錆びた鉄柵に腕をついて話す槙島。
「———きっと楽しませてくれるんじゃないかな」
そう、期待を込めて呟いた。