第7章 沈黙は、語り続ける。
「……説明のつかないことが多すぎる」
狡噛が六合塚の手によって王陵璃華子の姿を寄せ集めた過去数日分の監視カメラの映像を確認している中、宜野座は喋る。
「王陵璃華子の逃走経路、あの遺体の発見現場の設備………どう考えても女子高校生一人が賄いきれるものじゃない」
「今回も裏に何かある」と言う宜野座に息を呑む狡噛。「ひょっとするとお前の言う通り——」と腰に手を当てて言う宜野座に「おかしい」と彼は言う。
「どうした?」
宜野座は尋ねる。
「破損しているデータがある。さっき六合塚が検索した時にはどの録画も無事だった」
と言う狡噛は全データ一覧を表示させる。
「……美術室のカメラデータが、集中的にやられてるな」
右手を机につきながら言う宜野座。チッ、と舌を打ちながら「全滅か」と言った狡噛は「……いや、こいつ、音声は修復出来そうだ」と、手首の端末に移動する。再生するとノイズを出しながらも聞こえる音声に耳を傾けた。
『……なぜ、同じ学園内の生徒ばかりを素材に選んだのかな?』
『……全寮制女子学校というこの学園の教育方針を、槙島先生はどうお考えですか?』
槙島、と確かに聞こえた名前に狡噛ははっと驚いたのだった。