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【PSYCHO-PASS】名前のない旋律

第7章 沈黙は、語り続ける。




 桜霜学園の職員室。教師が数名机に向かう中、ベストにネクタイ姿の彼は端末に目を向けて”とある映像”を見ていた。

『狡噛、今回の2件は藤間の犯行ではないと、お前は最初から見抜いていたのか?』
 端末からは先ほどの宜野座と狡噛のやりとりの音が聞こえる。
『……今回の犯人は、ただ目に付けばいいというだけで遺体の陳列場所を決めていた。2回続けて公園を選ぶなんて、藤間幸三郎だったらあり得ない』
 彼は、喋る狡噛の姿を親指と人差し指の二本で拡大してフフ、と笑みをこぼした。

「柴田先生は、音楽がお好きなのですか?」
 と、この学園の教頭である女性が近づいてくる。そんな彼は端末を机に伏せて「えぇ」と答えた。
「いつも新しいアーティストを探しています。興味深い新人を見付けるのが、本当に楽しみで」
 と、彼女の方を向いて喋る彼。
「そういえば柴田先生。美術部の部員からは不思議な渾名で呼ばれてますわね」
 教頭が彼に尋ねる。「えぇと確か……マキ……シ……タ?」と呟く彼女に「あぁ、あれは雅号のようなものでしてね」と答えた彼。すると、職員室の扉がガラッと開いて「きょっ、教頭先生!」と呼ぶ声が聞こえた。その声のもとに反応する二人———。

「が……学園内から、生徒の死体が……!!」
 教師の叫ぶ声に「何ですって!?」と驚く教頭。彼も立ち上がり動揺を示した。同じ部屋にいた職員も突然のことに教頭と一緒に現場へ向かうが、彼だけは違った。自分以外、誰もいなくなった職員室でフフ、と笑い座る彼は、表情を変えモニターへと向かう。カタカタと液晶キーボードを操作しながらパスワードが要求される画面で安易にその門を破る。画面から見えるに、監視カメラの映像を何やらいじっているようだ。
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