第7章 沈黙は、語り続ける。
桜霜学園の廊下を早歩きで牢一の血縁者、王陵璃華子の元へと足を進める狡噛。「君っ、一体何の真似かね!?」と慌てる職員に気にすることもなく王陵が居る美術部部室へと歩いていく。
「生徒たちを徒に刺激しないよう捜査活動には十分配慮しろと再三こちらは……」
職員が訴えている途中に王陵が居る教室の扉をガラッと開けた。狡噛の視界にはキャンバスが何枚も置かれた奥で絵を描いている王陵璃華子、彼女と思われる人物が居た。入り口に立ち止まっている人物に気づいた王陵。
「王陵璃華子だな」
「……それが何か?」
狡噛の方を向いて言う王陵。狡噛は、躊躇もなく所持していたドミネーターを彼女へと向けた。ドミネーターの無機質な音声が狡噛の鼓膜へと届く。
『犯罪係数472 執行モード”リーサル・エリミネーター”』
『慎重に照準を定め———』
対人抹殺モードに変形したドミネーター。すると、隣に居た職員が「何をするッ!?」と狡噛がドミネーターを構えていた右腕に襲いかかった。ガシャン、と廊下に重い音を立てて落ちたドミネーター。狡噛が職員を振り解こうとしている中、余裕ができた王陵はタイミングよく走り出し教室のドアを勢いよく開けて逃げ出した。逃げ出す彼女を見てチッ、と舌打ちした狡噛は職員をグイッと押してドミネーターを持って王陵を追いかけた。そんな狡噛に尻餅をついた教師は「やめんか!」と立ちあがって叫ぶ。
「……うっ……」
苦しそうな声をあげた教師。突然現れた征陸は腕で職員の首を絞めつけた。
「しょ……正気か貴様ら! 未成年者を相手に——」
締め付ける征陸に対して教師はそう言う。そんな教師に対して征陸が一言。
「あ〜先生、今は少年法とか無いんですわ」