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【PSYCHO-PASS】名前のない旋律

第6章 変わらぬ愛の花言葉



「……こんな不思議なものを槙島先生は一体何処から……」
 入れながら王陵は言う。
「昔仕込んだ祭りの残り、とは言ってましたがね」
 水槽に移しかえられた液体は透明だ。
「誰が作ったモンなのかは知らないし、知りたくもないが……そいつはこの妙ちきりんな薬で、特許取ったり商いをしたりするより、槙島の旦那を愉しませる方が、よほど有意義だと思ったんでしょうね」
「先生の周囲にはいつも、才能の使い処を間違えた天才が集まって来るのでしょうね」
 タンクの中の液体が全て水槽に移し終わったのか、王陵はそのタンクをもとの場所に戻してスーツケースの元へと歩いていく。
「……あなたもその一人なのでしょう?」
 チェ・グソン、と呼ばれた彼は「何なんですかねぇ」と喋り始める。

「あの人と一緒にいると、童心に返るっていうか……どんな悪戯を仕掛けて世間をあっと言わせてやるか、そればっかりに夢中になっちまう」
 スーツケースを引きずりながら「解るわ、その気持ち」と王陵は言う。ドン、と手術台の上に乗せられたスーツケースの蓋が開けられる。その中には真空された”彼女”がいた。
「あなたたちが玩具を用意し、それを使って私たちのような悪戯っ子が世の中を騒がせる」
 楽しいわよね、本当に。と、彼女を見ながらそう言う王陵。
「まっ、俺ら玩具屋は、あんたたち悪ガキのやることを眺めて愉しむだけで、十分です」
「……そうね」
 王陵は言う。
「そろそろ、二つ目の悪戯が見付かる頃合いじゃないかしら。……ニュースに注目しとくといいわ」
「そうさせてもらいましょう」
 と、グソンはコス・デバイスを手元に用意し桜霜学園の制服をきた女生徒に変貌する。
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