第6章 変わらぬ愛の花言葉
「王陵牢一は、二度殺されたようなものです。……まずは、科学技術によって才能を殺され、そして、社会によって魂を殺された」
彼は、顔を上げて言う。
「つまり、その少女の犯行の動機は父親の復讐……かね?」
泉宮寺は聞く。彼は、目を閉じて「さて、どうでしょう」と答える。そして、こう言うのである。
———願わくば、さらに向こう側の意義を、見出して欲しいものですが。
*
「……それと泉宮寺さん、芸術家は”俗物”ばかりじゃないんですよ。彼のように、理想を追い求める者もいれば、呼吸をするかの様に芸術そのものを楽み、自由に世界を生きている者もいる」
「後者の方は、君の血縁者じゃないかな?………どうやら君は、彼女に少々依存している節があるようだね」
「———そうと言われれば、そうなのかもしれないですね」
「彼女に対して、素直じゃないのは君の弱点かな……?」
「さぁ、それはどうでしょう」