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【PSYCHO-PASS】名前のない旋律

第6章 変わらぬ愛の花言葉



 狡噛はそう言う。そして「で何の用だ」とずっと言いたかったことを言い放つ。常守は狡噛の体を指差して「その前に、タオルで汗ふいて服をちゃんと着て下さいっ」と心の動揺を見せながら言った。



 宿舎内、狡噛の部屋に移動した二人。常守に言われ、上にスポーツウェアを着た狡噛はポットボトルの水を数回口にする。飲んでいる最中に常守は喋り出す。

「……未解決事件、公安局広域重要指定事件102について………」
 狡噛は水を飲み終えペットボトルをカウンターの上に置いた。常守は言葉を続ける。
「……こっそり、覗き見するみたいに調べたのは……謝ります」
「なぜ謝る」
 狡噛は言う。
「怒ってないんですか?」
 常守は狡噛の言葉に目をパチクリさせる。
「……どうして俺が怒らなきゃいけないんだ? 過去の部下を殺された事件のことで? 3年も経つのに解決出来てない事件のことで?」
 狡噛は続けて「それとも行方をくらませた過去の同僚のことでか?」と尋ねる。常守は何も言えずに無口になる。そんな常守に「怒らないさ」と狡噛は言った。

「俺が起こるとすれば、その対象は自分自身以外ありえない」
 クルリと体を反転させ、カウンターに腕をついた狡噛はそう言った。続けて喋る。
「あの事件、藤間幸三郎の背後で糸を引いていた黒幕に、俺は掠ることすら出来なかった」
「今回の事件も、同じ人物が関与していると?」
 常守は聞いた。狡噛は「まだ分からない。只の手の込んだだけの模倣犯という可能性もある」と話し「だが調べる価値があるのは間違いない」と思いを述べた。

 天井のシーリングファンが空気を攪拌させる。
 常守は「捜査から外されちゃいましたね」と残念そうに言う。その台詞に「別にいいさ」とクルリ、常守の方を向いて言う狡噛。「あんまりギノを困らせてもな」と言う彼の言葉に「えっ」と言葉を漏らす。狡噛は「やり方はいくらでもあるって事だよ。上手い口実を見つけて、俺たちが戻らざる状況を作り出せばいい」と話す。「そんな方法が?」と常守は不思議そうに聞く。狡噛はもう手段を見つけたのだろうか、「あるさ。まぁ見てろ」と言葉を投げた。———常守は沈黙し顔を下げて言葉を返さないでいた。そんな彼女はしばらくして言葉を出す。
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