• テキストサイズ

【PSYCHO-PASS】名前のない旋律

第5章 狂王子の帰還




 刑事課一係の執務室。そこには唐之杜を含む監視官、執行官のメンバーが揃っていた。換気扇が回っているこの部屋で一人だけ立ちっぱなしの唐之杜は腕を組んで話し始める。

「八王子のドローン事件で金原が使ったセイフティ・キャンセラーと御堂のホログラム・クラッキング……」
 唐之杜が、今回起きたアバター乗っ取り事件の犯人である御堂と、その前に起こった八王子のドローン工場での事件の犯人、金原 祐治(かねはら ゆうじ)について喋る。
「どちらも同じ出所のツールだっていうのは確かなんですか?」
 常守が尋ねる。
「まぁどっちのソースコードもほんの断片しか回収出来なかったんだけど………明らかに類似点がある」
 唐之杜は一呼吸おいてこう言う。
「……同じプログラマが書いたって線に、私は今日つけてるブラジャーを賭けてもいい」
 そんなことを言う彼女に縢は「いらねーよ」と冷たい言葉を投げる。今の唐之杜の発言には特に問題はなかったのか(と言うか日常茶飯事なのか)、宜野座が冷静な口調で話し始める。

「御堂は確かにソーシャルネットのマニアではあったが公共のホロに干渉出来る程、高度なハッキング技術はなかった。金原も御堂も電脳犯罪のプロからバックアップを受けていたのは間違いない」
 と、つい先日に金原に取り調べをした宜野座は言う。その意見に対して征陸は「しかし肝心の金原の供述がコレじゃなぁ……」とモニターに表示されている宜野座と金原の事情聴取の様子を録画したものを途中から再生させる。

『本当だ! ある日いきなり俺宛に郵送されて来たんだ!』
『手紙には送り主の名前も無くて、ただ「あの工場に恨みがあるから一緒に滅茶苦茶にしてやろう」って!』

 と、画面の中で金原の声が聞こえる。常守は「愉快犯……にしては悪質ですよね……」と意見を述べた。常守の意見に続けて宜野座は「そもそも金原が殺人を犯すと送り主はどうして予測できたんだ?」と疑問を呈する。そんな宜野座の疑問に誰かが発言をした。
/ 149ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp