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【PSYCHO-PASS】名前のない旋律

第5章 狂王子の帰還




 ———一時間後。


 頬が桃色に染まった常守は、グラスに白ワインを注いでそれを一気に飲み干しそのあとにため息をこぼした。ソファーに両腕を広げ潤んだ目を天井に向けて「だってよ〜ぉ……俺が採用された時にゃもうコウちゃん監視官下ろされてたからさ〜ぁ」と言う縢は若干呂律が怪しい。大分アルコールが体内に回ってきているのだろうか。

「詳しいことはよく分っかんねぇし〜ぃ。……なーんかそのときコウちゃんの部下だった執行官が殺されちまったって話だけどぉ」
 その縢の台詞にワインを再び注いでた手を止め「……殺された?」と言い返す常守。
「そ〜、犯人追っかけてたはずが逆に犠牲者になっちゃったのさ。たぁしか佐々山(ささやま)とか言ったっけか……他の被害者と同じ手口でそりゃもうヒドイもんだったらしいよぉ……」
 先ほどよりも固い表情になる常守。そして思い出したように「あぁ、確かぁそん時にあの真壁亜希っていう人がいなくなっちゃったってゆー話だったけ……」と付け足す縢。常守は「真壁さんが?」とその名前を繰り返す。
「うん。それも重なってコウちゃんおかしくなって犯罪係数ぶっちぎっちゃってぇ…………あの事件迷宮入りって話だけど未だにコウちゃん調べ続けてるらしいよ〜」
「……そうなんだ……」
 常守はそう返した。縢は天井を向いていた顔を正面に向けて彼女にこう言う。


「つかさ〜、朱ちゃん何でそんな酒強いわけ?」
 そう言う縢は他者から見る限り鎖骨部分まで赤く火照っていた。常守はグラスに入ったワインを一口飲んでから口を開いた。


「……いや、縢くんが弱すぎ」




 ———ちなみにあとちょっと、この呑み会は続いた。
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