第11章 間章 -Interlude-
「自分で選んで失敗するより、システムが向いてるって判断したものを選んだ方がいいじゃない。少なくとも、大きく間違えることはないもの」
「そうかもしれない」
意外にも、槙島は否定しなかった。
「ただ僕なら、自分で選んだ失敗と、他人に選ばれた成功なら前者を選ぶ」
「私は失敗したくないわ」
「それも君自身が選んだのなら、それでいい」
亜希はもう一度振り返った。
「……何それ」
「僕は亜希に、こう生きろと言っているわけじゃない」
槙島は本を閉じた。
「君の人生を生きるのは君だ。なら、選ぶのも君であるべきだと思っているだけさ」
「…………」
「君はどうしたいんだい、亜希」
答えられなかった。
今まで、そんなことを真剣に考えたことがなかった。
システムが自分に合った道を教えてくれる。
教師も両親も、その中から最善のものを選ぶことを勧める。
それがこの社会では当たり前だった。
だから、自分が何をしたいかなんて__
「……分からない」
「そう」
槙島はそれ以上何も言わなかった。
「それだけ?」
「何がだい?」
「もっと何か言うのかと思った」
「分からないものを、今すぐ決める必要もないだろう?」
「さっきは自分で選べって言ったくせに」
「考えることと、急いで答えを出すことは違うよ」
亜希はじっと槙島を見る。
「やっぱり面倒くさい人」
「亜希は僕によくそれを言うね」
「だって本当に面倒くさいんだもの」
槙島が笑った。
つられて、亜希も少しだけ笑った。