第11章 間章 -Interlude-
「それで」
しばらくして、槙島が言った。
「進路は決まったのかい?」
亜希の手が止まる。
「……急に何?」
「さっきから君が睨んでいる紙の話だよ」
机には、進路選択に関する資料が並んでいた。
「一応、候補はいくつか出てる」
「シビュラが?」
「そう。適性判定でね」
「君はどこへ行きたい?」
「だから、その候補の中から――」
「そうじゃない」
亜希は振り返った。
槙島はいつもの穏やかな顔をしている。
「亜希自身は、何がしたいんだい?」
「…………」
「何を学びたいのか。どんな仕事をしたいのか。どう生きたいのか」
「そんなの、急に聞かれても分からないわよ」
「なら、分からないまま選ぶのかい?」
「だって、向いてるって言われてるものを選ぶ方が合理的でしょう?」
「合理的、か」
槙島が小さく笑った。
それが何となく馬鹿にされたように聞こえて、亜希は眉を寄せる。
「何よ」
「いや。君の口からそんな言葉が出るとは思わなかっただけさ」
「どういう意味?」
「そのままの意味だよ」
「……しょーちゃんって時々、ものすごく感じ悪いわよね」
「そうかな」
「そうよ」
亜希は椅子ごと机へ向き直った。