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【PSYCHO-PASS】名前のない旋律

第11章 間章 -Interlude-





「………?」
 亜希のその意味不明な行動に、狡噛は首を傾げた。
「おい、どうした。大丈夫か?」
 どこか具合でも悪いのだろうか、と的外れなことを思った彼は、心配をしてそう問いかけた。
 亜希は彼にふふふっ、と嬉しそうに笑った。狡噛は、彼女が突然笑うもんだから、戸惑った。
 そんな彼に、彼女は言う。

「ねぇ慎也、……これ、金曜日に持ち越してもいいかしら?」

 金曜日———つまり、16日。
 狡噛の誕生日だ。

 彼女の動作が可笑しかったのはこれを思いついたからだったのか、と納得した狡噛は彼女に向かって喋る。
「おっ……いいな、それ」
 なんだか誕生会みたいだ、と言う彼に「折角あなたからの要望ですもの。それまでにちょっと練習しなくちゃ」と亜希は笑みを浮かべて話した。
「3日後、楽しみにしておく」
「ふふっ、ありがとう」


 ———同僚の女性からの細やかな誕生日のお祝い。
 そう思った狡噛は、なんだか気分が少し高揚した。その高揚からか、彼は彼女に問いかけた。

「なぁ、その演奏してくれる曲っていうのはお前が作った曲、なのか……?」

 唐突なその質問にえっと飾らない声をあげた亜希は、彼が自らこんなことを聞いてくるのはあの時以来だ、と思った。
「……そうね。私のオリジナル曲よ」
「その曲は、どんな経緯で出来たんだ?」
「えー……っと……そうね……あまり、こういうこと話さないから……説明するの難しいのだけれど……、小さい頃に、なんとなく浮かんだメロディーが元になってるの」

 ———彼は滅多にこういう事を聞かないのに、急に尋ねてくる……。
 亜希はなんだか少し、恥ずかしい気持ちを抱いた。

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