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【PSYCHO-PASS】名前のない旋律

第11章 間章 -Interlude-





「なるほど」
 と、先ほどの彼女の台詞に相槌を打つ狡噛。
「それで、……その、メロディーを弾いていたら………偶々その場に居た従兄弟にね、褒められたのよ」
「……亜希、お前に従兄弟が居たんだな」
「えぇ、居るわ。……でも、監視官になってからは全く会わなくなっちゃった」
「……俺達は公安局の人間だからな。当然っちゃ言えば当然だな」
「でも私、実はその従兄弟に褒めちぎられちゃったからここまで音楽を楽しんでいるのかもしれないのよ」
「お前の従兄弟っていう奴は、そこまで偉大な存在だったのか?」
「偉大っていうよりは……そうね、魅力的な人なのよ……彼」

 狡噛は、『亜希の家族はかなりの金持ち』と出会った当初に小耳に挟んだ記憶があった。真壁亜希はお嬢様育ちだ、という言葉はこれまでにかなりの回数聞いてきた。
 その当の本人、真壁亜希は余程の事がない限り、自分の家族の話はしない(もしかしたら彼女は、家族に何かしらのコンプレックスを抱いているのかもしれない、と狡噛は思ったこともある)。
 そんな彼女に影響を与えた従兄弟……。一体どんな奴なのか、狡噛は少し気になった。

「なぁ、その……“従兄弟”って言う奴は一体———」


 ———どんな奴なんだ?


 そう、狡噛は聞こうとした。


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