第10章 聖者の晩餐
「……! ちょうど良かった、監視官!」
奥から駆けつけてくる彼らに叫ぶ征陸。
「狡噛が動かないように、押さえ付けといてくれ!」
と、その場から走って常守が突っ走って行った道へと征陸も駆けていった。
「……!」
宜野座がドミネーターを抱えて地面の方を見ると、先ほどの頭突きがよほど効いたのだろう、頭を抱えてうずくまっている狡噛がそこには居た。
「……しぶといもんだな、全く……」
呟く宜野座。
縢・六合塚は警備ドローンが光照らす、泉宮寺の体の破片を見つめていた。
「……何だ?」
そう言う宜野座に「コウちゃんが一人撃ったみたいっすね」と、縢。
端末で、ドローンがその破片を分析した情報を見た六合塚。
「………!? 泉宮寺豊久!?」
表示された名前に驚いている六合塚に、「泉宮寺だと!?」と同じように驚く宜野座と「誰っすか? それ」と呟く縢。
そんな彼に「厚生省の推薦ニュースも見てないの?」と問う六合塚。
「見てねえよそんなもん!」
縢は、“つか、あんなモン見てる人間がいたの!?”と衝撃を受けたのだった。
彼らの少し離れたところには、泉宮寺の飛んで行った胴体が投げ捨てられるようにあったのだった。