• テキストサイズ

【PSYCHO-PASS】名前のない旋律

第10章 聖者の晩餐





 狡噛の応急措置を一通り済ませた征陸は、ふぅ、とため息をついて腕で汗を拭った。

「……体が重い……、自分の、体じゃないみたいだ……」
 苦しそうに声を発する狡噛に「弾はまだ抜いてねぇからな」と道具をしまいながら征陸は言った。
「俺が、おっかなびっくりにやって太い血管を傷つけたら、本当に致命傷だ」
 征陸は、搬送後プロにやってもらえ、と喋った。

「常守監視官は……どこに……?」
 姿が見えない常守の所在を尋ねた狡噛に「こっちが聞きてぇよ」と言い放った征陸。
「突っ走って行った。誰かを追って行ったみたいだ。……お前の応急措置が終わったから、俺も今すぐ、嬢ちゃんを追いかける」
「俺も行く……っ」
 と、仰向けになっていた狡噛は起き上がろうとするが、「お前はアホか」と征陸は狡噛を阻止するように体に跨った。
「だが……」
 征陸は、歯向かう狡噛の頭を両手で掴んで自分の頭と打った。ドサッと重い音を立てて狡噛は倒れていく。
「くあ……ッ!」
「悪いな……重症だってのに」
 立ち上がった征陸。
「でもな、これ以上時間の無駄は嫌なんだよ。お前がこんなになるんだ。はっきり言って、嬢ちゃんも、かなりヤバい」

「征陸執行官!」

 征陸と狡噛の元に、宜野座たちが救援に駆けつけた。

/ 149ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp