第10章 聖者の晩餐
「油断するな。きな臭いなんてもんじゃないぞ」
征陸は、そう常守に喋った。
彼らは今、ドミネーター片手にドローンと一緒に狡噛を探している最中である。
「あちこちに弾痕が……」
「……散弾だな。火薬を使った銃の痕跡なんて久しぶりだ」
「……これ……っ、……征陸さん!」
常守は、地面の血痕を見つけ、しゃがんで征陸の名を呼んだ。
「……狡噛さん……」
征陸と一緒に奥へと進んでいく常守。
「誰か………!」
女性の叫び声が聞こえ、常守は反応する。聞き覚えがある声に即座に彼女の名前が口から出る。
「ゆき!?」
「今の声は?」
征陸は聞く。
「行方が分からなくなってた私の友人の声だと思います……!」
二人は、目の前の階段を駆け上る。常守がドミネーターを構えながら先へと進んでいく。
視界を右に移すと、狡噛が地面に倒れているのが見えた。
「……狡噛さん!?」
繰り返し狡噛の名前を叫びながら、彼の元へと駆けていく常守。後ろから征陸とドローンもついていく。