第10章 聖者の晩餐
狡噛は、ドミネーターを手に通路を駆けて行く。
壁を背にして身を潜めていると奥から弾丸が二発、壁に当たる。発砲音が鳴り止んだところで弾の出どころにドミネーターを向ける。が、即座に逃げ出した泉宮寺。
泉宮寺は急いで弾丸を装填する。狡噛は、高台から飛び降りて走る。泉宮寺が一発、発砲するが命中せず。銃を構えながら、狡噛を見つけようと歩き出した彼に、横からドミネーターで狙う狡噛。ドミネーターから放たれた電磁波は、機械化した泉宮寺の左腕を木っ端微塵にした。
腕を撃たれた泉宮寺は、右手にしていた銃で遠心力を使いクルリと方向転換して、銃口を狡噛の方へと向け引き金を引いた。
弾は、狡噛の脇腹へと命中する。
「……がッ!」
撃たれた反動で、狡噛は背後の通路へと落ちて行った。ドサッ、と重い音が聞こえる。泉宮寺は急いで追う。階段を登り、狡噛が落ちた方へと銃口を向けるがそこには姿が無い。
泉宮寺は、フラフラとしながらも狡噛を探しに歩き出す。道端には、血痕がこびりついていたり、錆びたドラム缶がある。
「……くく……フフフッ…………はははっ」
突然、ガコッ、と音がしたので、鳴った方に顔を向けた泉宮寺。そこには、斜面をゴロゴロと転がり落ちるドラム缶が———。
転がってきた地面には、血痕が奥へ奥へと続いていた。それを見た泉宮寺はしゃがみこんだ。
「チェックメイトが近いぞ、執行官」