第10章 聖者の晩餐
宜野座、六合塚と別れた縢。彼は、ドミネーター片手にドローンと一緒に妨害電波の発信源を探していた。
暗闇の機械室の奥へと目をやると、床に置かれていたのは大きな装置だった。
「こいつか……! 妨害電波(ジャミング)発生装置!!」
と、縢は装置の方へ走っていく。
目の前まで来た縢は、勢いをつけてそれを蹴り上げた。
「ぅオラァ!!!」
「……残念ながら時間切れです」
真壁が楽器と共に去っていった客席の高台から、一人になった槙島は、双眼鏡を覗き込みながら通信機越しの泉宮寺にそう伝えた。
『妨害電波が破られました。間もなく、公安局の本隊が駆けつけるでしょう』
通信機越しの槙島の声を耳に、泉宮寺はしゃがみながら呟く。
「……ラヴクラフトがやられた。撃たれて壊されたんだ」
ラヴクラフト、と言うのは青い猟犬のことだろうか。
「奴はとうとう撃ち返してきた」
『……泉宮寺さん?』