第10章 聖者の晩餐
『対象の脅威判定が更新されました』
『執行モード デストロイ・デコンポーザー』
対物用分子破壊モードに切り替わる。それに合わせてドミネーターも形を変えていく。
狡噛が左手で右腕を支え、分子分解ビームの圧力に耐えようとする。
『対象を完全排除します ご注意ください』
猟犬が狡噛の方へ駆けてくる。
猟犬の間を大きく飛んだ狡噛は、ドミネーターを猟犬の方へと向けた。ビームを受けた猟犬は、床に大きな穴を開けて破片を残し、形もなく消滅した。
しゃがんで猟犬の制圧が完了した姿を見た狡噛ははぁ、とため息をついた。立ち上がり、左を見るとそこには銃を構えた泉宮寺の姿があった。
「……っ!!」
急いで逃げる狡噛。すぐさま銃弾が発砲される。
狡噛は、逃げる際に脇腹と肩口に弾を受けてしまった。
「く……ッ!」
銃弾を受けた威力は凄まじい。二方から即座に出血する。
(あの外観、……二発ごとの空白……)
(敵の武器は、二連銃身の猟銃か……!!)
ドミネーターを両手に構えながら、身を壁に預けた狡噛は心の中で呟いた。