第10章 聖者の晩餐
ドローンが入り口のドアを破る。
一係は狩り場に足を踏み入れた。
「常守監視官」
宜野座が呼ぶ。
「征陸を連れて狡噛を捜せ。ここは完全に迷路だ。狡噛からの救難信号も方向だけしか分からない以上、ナビ無しで進むのは厳しい。俺と縢・六合塚は手分けして妨害電波の発信源を探し出し、潰す」
そう言った宜野座は二人を連れて去っていった。そして、常守も征陸とともにドローンを連れて通路を駆け抜けていく———。
「正直、何が何だかさっぱりだ」
宜野座は縢と六合塚、複数のドローンを連れて先頭を切っていた。
「強力なジャミングに、記録にない地下空間、……狡噛からの応援要請」
「ただ事じゃないのは間違いないっすよ」
縢が話す。
「お前もそう思うか?」
「コウちゃんのあんな声、初めて聞きました。………マジで切羽詰まってた」
と、縢は神妙な顔つきで宜野座に話した。
征陸の後ろを走る常守。
通路を突っ走っていく常守は、今まで着ていた黒いコートを脱ぎ捨てた。その後ろからドローンも駆けていく。
———狡噛さん……!! 間に合って!!!