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【PSYCHO-PASS】名前のない旋律

第9章 狩りに最適な日



「……この狐狩り、只のワンサイドゲームじゃない。奴らは俺にも、勝ち目があるとちらつかせてる」
 手にしていたトランスポンダを見つめながら言う。
「つまり、俺は試されてる。途中であんたを見捨てるか否か。……きっとそいつも勝敗を握る鍵のひとつなんだ」
 と、船原の方に顔を向けた狡噛は彼女の服装を観察する。
 黙り込んだ狡噛は船原に言葉をなげた。

「おい! 服を脱げ!」
「はぁ!? なっ、何考えてんのよこんなとこで!!」
 唐突な狡噛の台詞に取り乱す船原。
「いいからその寝間着を寄越せ! 確かめたいことがある」
「あんた正気!? 頭でもイカレたの!?」
 抗する彼女に「生き残りたければ言う通りにしろ」と命令する狡噛。極めて冷静な態度の彼に無言で後ろを向いた船原は狡噛から貸してもらったモッズコートを脱ぎ捨て「こんなド変態が公安の刑事だなんてっ」と言いながら脱いだ寝間着を彼に差し出した。
 船原の寝間着を受け取った狡噛は服をよく確かめて、彼女に顔を向けた。
「な、何見てんのよ!」
「……あんたは、下着の上下を揃えないのか?」
 呟く狡噛に「そんなこと……」と反応を見せた船原は胸元に交差させていた腕を解いて自身の下着を確かめた。
「……え? ……何で……」
 驚く船原に狡噛はさらに指示する。
「下着も寄越せ」
「えっ……。あ、あっち向いてなさいよね!」
 と、彼女はブラジャーのホックを外してそれを狡噛に投げつけた。
 頭上に降ってきた船原の下着を手に取った彼は、「成る程な」と呟く。

「攻略アイテムの最後のひとつは、あんたが隠し場所だったんだ」
 と、下着のカップ部分の形に合う様にして入れられていた異物を取り出した。

「トランスポンダのアンテナだ」
 狡噛はふっ、と笑った。

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