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【PSYCHO-PASS】名前のない旋律

第9章 狩りに最適な日





「……もう駄目……、走れない…………もう嫌、無理っ……」
 船原は走り疲れたのか、息切れをさせてそう言った。
 狡噛と共に壁に身を潜めている彼女は、地べたに座って「ねぇ……聞いてる!?」と狡噛に訴えるが壁を背にして立ったまま動かない彼は「悪いが考え事の最中だ」と呟いた。

「いいから何か喋って! あんたって……黙ってるとなんか怖いんだもんっ」
「………考えていた。あんたを餌にして常守が釣られ、代わりに俺が探しにいくことまで織り込み済みで、連中はこの狩りをセッティングした」
「……あいつらが遊びたいのはあんたなんでしょ? あたしは只の……」
 クソッ、と意を決して立ち上がった船原は狡噛に叫ぶ。
「巻き添え食ってるだけなんでしょ!?」
「その通りだ。あんたについては、最初の偽メールを仕掛けた時点で役目は終わっていたはずだ。なのに奴らはどうしてあんたを地下鉄に乗せた……?」
「……それってさ、あんたが簡単に逃げられない様にするためじゃない? だって今もこうしてあんたの脚、引っ張ってる。……あたしがいなければ、あんた一人でもっと上手く逃げてるんでしょ……?」
 船原が淡々と喋る最中も、狡噛は考え事をしていた。
「………もういいわよ。……好きにしなさいよ」
 フッ、最低。と、自暴自棄になる船原を尻目に狡噛は話す。
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