第3章 照れかくし(時透無一郎)*
『ちょっと…!
いい加減降ろしてください!
なんなんですかあなたっ…
あなたはもう私の師範じゃない!
私は継子を辞めたんです。
もう振り回すのやめてください…』
「…やっぱり煩いね。
まぁいいよ…希望通り降ろしてあげる。」
私の視界が回転する。
そして目の前には…霞柱の顔。
いつも以上に近い…
端麗な顔立ちだからドキドキしちゃう…
『ちょっ…近いですってば…』
「そんなに僕のこと嫌いなら
力ずくで押しなよ。」
思い切り押す…けどピクリともしない。
「そんな弱い力じゃ鬼どころか
人間の男にも勝てないよ。
簡単に犯されちゃうよ?」
『何言って…!!!』
私は顔が真っ赤になる。
「ふっ…可愛い。」
『へ……』
この人今可愛いって言った?
いやまさか…聞き間違いに決まってる。
そんなことを考えているうちに
今この状況が危険なことに気付いた。
恐らくここは…霞柱の部屋。
私の下には布団。
目の前には霞柱。
これは…非常に危険では…?
いや、でも…霞柱が
私なんかに手を出すわけないし…
うーん、どうしようか…
私は頭の中でぐるぐる考えたが
答えが出なかった。