第2章 変わりなんかじゃない(伊黒小芭内) *
『…伊黒さん…
私…貴方に触れられても全然怖くない。
むしろ安心します…
こうやって貴方の綺麗な顔を
近くで見ることができ、
貴方の綺麗な目が私を見てる…
そして、口元の傷まで見せてくれた。
私…とっても嬉しいです。
伊黒さん…好きです。大好っ……』
最後まで言い終える前に
小芭内が口づけをする。
『っ…は…伊黒さん…?』
「…もう…それ以上言うな。
俺の立場がなくなるだろう。
…東雲…俺もお前が好きだ。」
『…えっ…』
「実は…甘露寺が亡くなったあとに
禰豆子から聞いていたんだ、お前の気持ち。
もちろん
そのときは何も応えられなかったが…
お前と再会したとき、何かを感じた。
甘露寺が引き合わせてくれたのかとも
思ったよ。
最初は甘露寺と重ねてしまっていた。
だが、何度か2人で出掛けて
お前のこと知るようになり
どんどん意識するようになった。
…甘露寺からの最期の手紙にも
お前のことが書いてあったんだ。
甘露寺はお前の気持ちを知っていた。
だから本当に申し訳なく思っていたんだ。
そう書いてあった…」
『…師範っ……』
「東雲…」
小芭内は飛鳥の頬に手を添える。
「甘露寺の代わりなんかじゃない。
俺は、お前が好きだ。
これからは俺がお前のそばにいて、
ずっと守らせてほしい…」
飛鳥の目からはポロポロ
涙が溢れている。
『よろしくお願いしますっ…!
大好きです、伊黒さん…』