第2章 変わりなんかじゃない(伊黒小芭内) *
小芭内は飛鳥の傷の手当てをする。
『………』
「………」
飛鳥はずっとカタカタと震えている。
沈黙の中彼女の背中をさする。
『…あ…の……』
飛鳥が口を開く。
「…なんだ?」
『あ…ありがとうございます…
…あのっ……わ…たしっ……』
飛鳥の瞳から涙が溢れている。
「…よせ。何も話すな。」
『…やっぱり……わたし…汚い…ですよね…』
小芭内は目を見開き飛鳥を見る。
家に着いたからというもの、
彼女の方を一度も見ていなかった。
外では暗くてよく見えなかったが
彼女の白い肌には
たくさんの紅い痕がついている。
小芭内は…怒りで気が狂いそうだった。
「…汚くなんかない。
東雲は東雲のままだ。
今日はゆっくり休んでけ。
タオル置いておくから風呂入ってこい。
不安だろうから、俺は隣りの部屋にいる。
何かあったらすぐ呼べ…」
言い終える前に飛鳥は小芭内に
抱きついた。