第15章 無口な狼(冨岡義勇)*
崇史と別れたあとは行きつけのバーへ行った。
「あら、飛鳥ちゃんいらっしゃい!」
『ちょっと聞いてよ、ユキ〜〜〜』
バーの店員 ユキこと裕貴は飛鳥の幼馴染、そしてオネエだ。
年は飛鳥の2歳上。
もう20年以上の長い付き合いで兄のような存在。
「あらあら、どうしたの飛鳥ちゃん…」
お店の奥から出てきたのは光。
ユキの奥さんだ。
『あー、ヒカルちゃん〜!
あのね、今日3年付き合ってた恋人に振られてさー…』
飛鳥は2人に今日あった出来事を話し始めた。
「まぁ…それは酷い話しね…
浮気なんて本当に最低!!!」
『でしょー!?
まぁ正直冷めてたからズルズル付き合ってたんだけどね…
浮気の事実知ったら僅かな愛も一気に冷めたよ〜…』
「でも婚約とかする前に最低な奴だって分かって良かったじゃない。」
『ん、まあね、、.、
ねぇ、私ってヤバい顔してる…?
今日同僚に言われてさ……』
飛鳥は今朝義勇に言われたことを気にしており2人に話した。
「飛鳥ちゃん最近寝不足?
目の下にクマできてるよー……」
『あー、最近忙しかったから、、、』
「その同僚の人は普段から飛鳥ちゃんのことちゃんと見てるのね!」
『え?』
「多分飛鳥ちゃんが寝不足で疲れが溜まってるの分かったからお仕事手伝ってくれたんじゃない?
まぁ言葉足らずだとは思うけど…」
そう話すユキに飛鳥は今日璃花子が言ってたことを思い出した。
(冨岡…私のために…?
いや、アイツは仕事デキる奴だから私じゃなくてもやってたよ…!)
飛鳥は悶々と考えていた。
「ま、今日は他にお客さんもいないし、私たちが奢ってあげるから飲みなさい!
いいよね、ユキ?」
「もちろん!!」
『2人とも、ありがとう、、、!』
飛鳥は2人の言葉に甘えることにした。