第2章 変わりなんかじゃない(伊黒小芭内) *
〜半月後〜
私はすっかり良くなり
今まで通りの生活を送っている。
『いらっしゃいま…い、伊黒さん?!』
「…東雲か…?」
『はい!お久しぶりですっ
お元気でしたか??』
私は勤め先のお食事処で伊黒さんに会った。
「…あぁ。元気だ。
東雲は…元気そうだな。」
『はい、おかげさまで!
「ここで働いてたんだな。」
『そうなんです。
伊黒さんは何されてるんですか?』
「俺は今お寺で子供たちの相手をしている。」
『えっ…意外です…』
「なにがだ?」
『伊黒さん、子供好きだったんですか?』
「…甘露寺のしたかったことだ。」
伊黒さんは一瞬悲しそうな表情を見せた。
そうか…この人はまだ師範のことを…
ズキッ…
私の胸から音が聞こえた。