第13章 恋愛事情(時透無一郎)
飛鳥はすぐに帰ることもできず仮眠室で少し休むことにした。
『うう…気持ち悪い…』
飛鳥にとって思い出したくない出来事があった。
そう、それは2年前ー…
飛鳥は当時柿下裕司という4歳年上の男性と付き合っていた。
それが今日担当の代理で来た人物だ。
二人は元々同じ会社の先輩後輩だった。
付き合って1年目の記念日のときプロポーズされ婚約することになった。
元々恋愛にも男性にも興味のなかった飛鳥だったのだが裕司に押され渋々付き合うことに。
しかし彼はとても優しく、暖かく飛鳥のことを包み込んでくれたのだ。
恋人らしいことはキス以上したことなかったが、飛鳥にとってそんなのどうでもよかった。
初めて、一緒にいて穏やかな気持ちになれる人に出逢えたのだ。
飛鳥は彼のことがどんどん好きになっていた。
そしてプロポーズ…幸せの絶頂だった。
しかしその数日後、彼の裏切りによってその幸せは壊された。
会社で飛鳥の後輩との浮気が発覚したのだ。
しかも愛し合っているところを飛鳥は直接見てしまったのだ。
飛鳥は当時の同僚であり友人だった甘露寺蜜璃にそのことを相談した。
その事実に激怒した蜜璃は上司に報告、飛鳥と婚約関係であったにも関わらず会社で情事をしていたということもあり二人とも解雇になった。
それから飛鳥は早く忘れたいがために別れ話もせず彼との連絡手段は一切断ち、慰謝料とかの請求もしなかった。
その後暫く支えてくれていた蜜璃は海外赴任となった。
そしてその後は上司に当たる義勇としのぶが支えてくれたのだ。